ニコンSマウント用のレンズ Voigtlander S Nokton 50mm F1.5 Asphericalについてです。Nikon S2用のレンズはNikkor-S.C 5cm F1.4しか持っておらず、せっかくレンズ交換できるのに1本しかないのはさびしいので、もう一つレンズを増やそうと思いました。Nikon S2は焦点距離50mm用の画角のブライトフレームしかないので、50mm以外のレンズだと外付けファインダーでフレーミングするのも必要があって面倒です。使用頻度の高いレンズは50mmなので、結局、50mmをもう一つ買うことにしました。選んだのはコシナのVoigtlander S Nokton 50mm F1.5 Asphericalでした。
S Nokton 50mm F1.5 Asphericalの発売は2003年です。レンズ構成は5群6枚でカメラに最も近い非球面レンズで収差を補正する設計となっています。最短撮影距離は0.9メートルでレンジファインダー用のカメラとしては一般的です。絞りは10枚羽で円形絞りではなく多角形(10角形)となります。S Noktonの"S"はSマウント用という意味です。
Mマウント用に同じレンズ構成のNokton 50mm F1.5 Aspherical VMがあります。そのMマウント用のレンズはさらに改良されNokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical IIという2代目が販売されています。
ニコンSマウントのレンズ接続部分は2つあって、ピント調節用ヘリコイドがレンズ本体にないレンズは、カメラ側のヘリコイド部分に接続するようになっていて、その部分を内爪といいます。一方、ピント調節用のヘリコイドがついているレンズは内爪の外側にある部分に取り付けるようになっていて、その部分を外爪と呼びます。S Nokton 50mm F1.5 Asphericalは外爪用のレンズです。
写りは破綻なくしっかりしている印象です。
S Nokton 50mm F1.5 Asphericalをα7R IVにもつけて簡単に描写を見ました。開放F1.5では色収差があり1段絞ったF2でも色付きがみられました。中心の解像度は開放だとちょっとあまく、2段絞ったF2.8で解像するようになります。周辺の解像度は開放ではかなりあまく、しっかり解像させるにはF5.6以上に絞る必要があります。
逆光時の写真。コントラストが落ちて、少しゴーストが発生しています。2003年のレンズなので最新のレンズと比べると逆光には弱いです。
近接撮影はあまり得意ではない感じです。ボケは悪くないです。
大手町のキッチンカー。
川沿いでタバコを吸っている男性。様になっている。
最後に玉ボケについて。
年輪ボケが目立ち、ボケの中に泡立ちもあります。周辺に行くと玉ボケの形がレモン状になっていきます。
絞ると玉ボケの形が10角形になります。上の写真は2段絞ってF2.8にしたときです。口径食がなくなって周辺のボケもレモン型に欠けなくなりますが、ボケが全て10角形となります。
2003年製造なので非球面レンズの性能が今ほど高くなく玉ボケの質にまでこだわっていない時代だったからでしょう。イルミネーション等を撮るには向いていないレンズです。この時代の他のコシナ製のレンズにも言えますが、ボケにこだわるなら非球面レンズを使用していないレンズ(例えばC Sonnar T* 1.5/50 ZM)を選択したほうがよいです。