Nikon S2 と Nikkor-S.C 5cm F1.4 です。昨年（2022年）に購入しました。ニコンのレンジファインダー機は以前から欲しかったカメラの一つでした。フィルムの値段がかなり上昇し、フィルムカメラを使用する頻度も落ちているので、今買わないともう使う機会はないのではないかと思い購入しました。
戦後、日本光学工業（ニコンの前進）が最初に市販したカメラは35mm版のレンジファインダー機でした。戦前はライカやコンタックスが35mm版レンジファインダー機を次から次へと出していた時代で、戦後もその流れは続き、日本の各メーカーも35mm版レンジファインダーカメラを開発しました。キヤノンやミノルタはライカLマウント交互機を作りましたが、日本光学工業はコンタックスCマウント交互機のSマウントのレンジファインダーを世に出しました。
日本光学工業の35mm版レンジファインダーはNikon I（1948年）から始まり、Nikon M（1949年）、Nikon S（1950年）、Nikon S2（1954年）、Nikon SP（1957年）、Nikon S3（1958年）、Nikon S4（1959年）と続きました。現在、この中で手に入りやすいのはS2、次がS3、そしてSPになると思います。また2000年にはS3の復刻モデル、2005年にはSPの復刻モデルが発売されました。
私の購入したものはNikon S2の後期モデルでダイヤルが黒塗りされているものになります。シリアルナンバーから1958年製だと思われます。
当初、せっかくSマウントカメラを購入するなら最も高機能なSPにしようか、それともSPほどではないけどブライトフレームが3つあるS3にしようかと迷っていたのですが、ファインダーを覗いてみて最も見やすかったのがS2でした。SPはブライトフレームが28mm、35mm、50mm、85mm、105mm、135mm用と６つもありますが、28mmと35mmはピントを合わせをするファインダーとは別のファインダーになっていて、外付けファインダーを使うのとあまり変わりがないし、レンジファインダーで望遠レンズもあまり使用しないので、自分には不要と判断しました。S3は常に105mmのブライトフレームが表示されていて、それがギラギラして見えるので撮影上邪魔になるなと思い敬遠しました。ファインダーを覗いて見比べてみると、ブライトフレームが50mmのみのS2のファインダーが最も見やすく、また、最もよく使うレンズは50mmなので、機能的にもS2で十分だと考え、S2を購入することにしました。
Nikonのフォントがかわいいです。SP以降はフォントが変わりNが直線で構成された字体となっています。ボディはダイキャスト製で質感が非常に高いです。シャッター音はやや大きめです。
Nikon S2用のレンズにNikkor-S.C 5cm F1.4を購入しました。このレンズはコンタックスのSonnar 50mm F1.5のコピーと言われています。無理をして絞り値をF1.5からF1.4にしたようで、実際はF1.5に近いとの話もあります。開放はかなりソフトな描写ですが、絞れがシャッキっとします。
ファインダーを覗いたところ。倍率は等倍、つまり、ファインダーを覗いて見る被写体と裸眼で見る被写体が同じ大きさに見えます。中央の部分で二重像を合わせてピント合わせをします。購入したS2はとにかくファインダーが綺麗でシミひとつありません。60年以上前のカメラでこれだけ綺麗なのはびっくりです。前所有者がしっかり補完、メンテされてきたのでしょう。
以下、S2とNikkor-S.C 5cm F1.4で撮った新宿御苑の写真です。
2022年の秋です。平日でしたが人が多いです。
ユリノキ。
温室の前。
温室の中です。
こちらも温室の中です。
ツワブキ。
この時のベストショットかな。
プラタナス並木。
閉園の時間です。
カメラは65年前、レンズは70年以上前のものでこれだけ写れば十分でしょう。
