Nikon Fのアイレベルファインダーはすばらしい造形美ですが露出系がついていません。Nikon Fはファインダーを交換できるので、せっかくなら露出計がついているファインダーに交換してみたくなりました。
Nikon F用の露出計がついたファインダーは四種類あります。最初(1962年)に発売されたのは「フォトミックファインダー」です。これは外光式のファインダーでレンズを通した測光(TTL測光)ではなく、ファインダーについた露出計で測光するものです。次(1965年)に発売されたのは「フォトミックファインダーT」で、TTL測光になりました。露出はフレーム全面の平均測光です。3番目(1967年)に発売されたのは「フォトミックファインダーTN」で、中央重点測光になりました。最後(1968年)に発売されたのは「フォトミックファインダーFTN」で、レンズの絞り環を最小から最大値にガチャガチャ回すことで、開放絞り値をファインダーに伝えることができるようになりました。
フォトミックファインダーFTNが一番使いやすいだろうと思い、フォトミックファインダーFTNを購入しました。
電圧変換タイプの電池アダプターが付属していたことが購入の決めてとなりました。フォトミックファインダーFTNはMR-9型の電池を2つ使用します。MR-9型水銀電池はとうに販売中止となっています、MR-9型電池を使う露出計やカメラを使いたい場合、アダプターが必要です。アダプターを使用することで現在市販されているSR43やSR44のボタン電池を代用できます。しかし、このアダプターは価格が結構高いのです。とくにSR43の1.55VをMR-9の1.35Vに電圧変換するアダプターは、電圧変換のないアダプターに比べ値段が倍です。
電圧変換アダプターが2つ付属していて、価格はフォトミックファインダーFTNの相場とほぼ同じものを見つけたので購入に至りました。
Nikon FにフォトミックファインダーFTNを装着した状態。フォトミックファインダーFTNをNikon F 中期型以前のカメラにつけようとするとNikonと書かれたプレートにファインダーが干渉してしまいますが、なんとか付けることができます。Nikon F 後期型ではプレートの形が干渉しないように変更されています。
レンズについているカニ爪をフォトミックファインダーの下に出ているピンに噛み合わせることで、レンズの絞り値をファインダーに伝えることができます。
カメラのシャッタースピードダイアルにファインダーのダイアルが結合します。ファインダーのシャッタースピードダイアルを回せばカメラのダイアルも回ります。これによりカメラのシャッタースピードとファインダーのシャッタースピードを連動できるようになります。
ファインダー内の表示。ファインダー上部に針による露出の表示があります。右の数字(この写真では250)はシャッタースピードです。シャッタースピードと絞りを変更し、針が中央の三角の切れ目のところにくるようにして露出を合わせます。
ファインダーの電源ONボタンは右側面にあります。電源OFFボタン兼電池チェッカーは露出計窓の右側にあるボタンです。
ファインダー上部にも露出計表示の窓があります。この部分に露出計表示があるとカメラをウエストレベルで持っている時にも露出が知ることができ、ファインダーを覗く前にシャッタースピードと絞りを決められて便利です。
ゴールデンウィークにNikon FにフォトミックファインダーFTNをつけて横浜を散歩しました。その時の写真を載せます。
水陸両用バスが航行しています。
馬車道です。
横浜スタジアムです。修学旅行生と思しき人たちがいました。
中華街は人でいっぱいでした。逆光気味の写真でフレアがでてコントラストが低下しています。マルチコートのレンズとはいえ、半世紀前のレンズなので致し方ないかと思います。
コペンとベンツ2台。
絞り値F4、シャッタースピード1/1000秒で撮影。目一杯開放してF4でした。シャッタースピードの上限が1/1000秒なので、ISO100のフィルムだったとしても、晴れた日の日中だとある程度絞らないといけないです。
外人墓地。
フォトミックファインダーFTNのデメリットは、デザインがアイレベルファインダーに比べてかっこ悪くなること、MR-9型電池が2つ必要であること、重くなることです。重量の実測値はアイレベルファインダーが96g、フォトミックファインダーFTNが274gなので、178gも重くなります。カメラボディだけで860gにもなるので持つとずっしりします。
フォトミックファインダーFTNは、機械式カメラの露出計としては、一般的な性能だと思います。露出計の窓がカメラ上部にあって使い勝手はよいです。今回フィルム1個分、36枚撮りましたが、露出を失敗したのは操作ミスによる1枚だけでした。