アルファ・プラスアルファ

デジタルカメラ(α7C II, α7R IV, α900, etc)とフィルムカメラで撮ってます

APO-LANTHAR 90mm F3.5 Lマウント

コシナ フォクトレンダーのAPO-LANTHAR 90mm F3.5 Lマウントについてです。EマウントのAPO-LANTHAR 50mm F2 AsphericalとMACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5がとても良いレンズだったので、それでは最初のコシナ製APO-LANTHARはどんな写りをするのかと思い、LマウントのAPO-LANTHAR 90mm F3.5を購入しました。このレンズは2001年発売です。「コシナ製」と書いたのは、ドイツのフォクトレンダー社が1950年代に発売したフォールディング式6x9の中判カメラBESSAIIについていたレンズがオリジナルのAPO-LANTHARだからです。このあたりはコシナさんのサイトにも詳しく記載されています。

レンズ構成は5群6枚、2群目のレンズが異常低分散レンズで、非球面レンズは使用されていません。今のミラーレス用のレンズに比べるとシンプルな構成です。

Lマウントと同じレンズ構成で一眼レフ用のAPO-LANTHAR 90mm F3.5 Close Focus SLが2002年に、ニコンSマウント用のS APO-LANTHAR 85mm F3.5が2003年に発売されています。その後、外観を変更しクローズアップレンズを付属した一眼レフ用のAPO-LANTHAR 90mm F3.5 Close Focus SL IIが2010年に発売されていて、これが現状最後のAPO-LANTHAR 90mmです。

LマウントとSマウント用は最短撮影距離が1mと寄れません。一方、一眼レフ用は最短撮影距離0.5m、最大撮影倍率1:3.5なので、マクロ的にも使うことができます。さらに専用クローズアップレンズを使用すると最大撮影倍率1:1.8とハーフマクロレンズになります。

 

APO-LANTHAR 90mm F3.5 (Lマウント)をα7R IVにつけたときの外観

レンズのサイズは最大径51mm、全長はフード込みで90mm、レンズ前キャップはフードの先に付けるようになっています。写真からも分かる通り、フードを逆さまにしてレンズにつけて収納性をあげることはできません。重量は260gと軽量です。かなり細身のレンズで、フルサイズミラーレスの中では小型な部類のα7R IVにつけてもレンズが細すぎてあまり似合ってない感じがします。

 

購入したのは一昨年です。某オークションで外見が美品のものを購入しましたが、レンズに曇りがあり、霞みがかった写真しか撮れなかったので、コシナさんに修理に出しました。2000年前後のコシナさんのレンズは曇る個体が多いようです。修理で曇りがとれ、他の部分もメンテナンスされたので、購入時に近い描写に戻ったのではないでしょうか。

 

α7R IVで撮った写真を載せます。

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5

無限遠の写り、色収差や歪曲収差はほとんどないと思います。少なくとも私は気がつかないです。

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5

太陽を入れて写真をとってみました。フレアが生じてコントラストが下がっていますが、これくらいは許容範囲内ではないでしょうか。また、左下に緑色でゴーストがでています。これはレンズ表面に付着したゴミが影響した可能性があります。

 

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5

近接撮影。もっとも近付いてこれくらいの大きさです。上の写真のように光があたっている被写体だと色収差が生じるレンズもありますが、このレンズは拡大しても色収差はなさそうです。アポクロマート仕様とうたっているので当然ですね。

 

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5, F=3.5

もう一枚、近接撮影。絞り開放で梅の花を撮りました。開放でもF値が3.5と大きいのでそれほど背景はボケません。

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5, 中心部等倍

梅の花の写真を等倍に拡大したものです。おしべがしっかり写っていて6100万画素のα7R IVでも十分解像していると思います。

次に玉ボケを見てみました。

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5, f/3.5

絞り開放での玉ボケ、口径食が見られ、周辺にいくほど玉ボケがレモンの形になります。年輪ボケにはなっていないです。

α7R IV, APO-LANTHAR 90mm F3.5, f/5.6

絞りをF5.6まで絞った時の玉ボケ。円形絞りではなく、絞り羽根が10枚なので、10角形の形状になります。F5.6あたりで口径食がなくなり、正10角形の玉ボケになります。

 

同じコシナ フォクトレンダーBESSA-R2AにAPO-LANTHAR 90mm F3.5をつけてみました。

BESSA-R2Aにつけたほうがα7R IVよりも様になっています。

そもそもレンジファインダーフォクトレンダーのレンズなので、BESSA-R2Aに似合います。

以下、BESSA-R2Aで撮った写真。

BESSA-R2A, APO-LANTHAR 90mm F3.5, ColorPlus 200

BESSA-R2A, APO-LANTHAR 90mm F3.5, ColorPlus 200

BESSA-R2A, APO-LANTHAR 90mm F3.5, ColorPlus 200

最短撮影距離の1mまで近づいておみくじを撮りました。ピントの位置が想定よりも少し手前にきてしまったようです。

BESSA-R2A, APO-LANTHAR 90mm F3.5, ColorPlus 200

この三輪車、見たことのない形状をしています。どんな用途のものなのでしょう。

BESSA-R2A, APO-LANTHAR 90mm F3.5, ColorPlus 200

BESSA-R2A, APO-LANTHAR 90mm F3.5, ColorPlus 200

BESSA-R2A, APO-LANTHAR 90mm F3.5, ColorPlus 200

BESSA-R2Aには90mmのブライトフレームがありますが、実はVMマウント(コシナ フォクトレンダーのMマウント)には90mmのレンズがないのです。なので、フォクトレンダーの90mmのレンズを同じフォクトレンダーのMマウントBESSAシリーズで使おうとすると、自然にAPO-LANTHAR 90mmをL/M変換リングで装着することになります。軽いレンズなので、同じく軽量なBESSA-R2Aで使うのに適していると思います。